ギリシャ:ファシストによるラッパー刺殺、追記 | 焔と煙霧

ギリシャ:ファシストによるラッパー刺殺、追記

続報、というほど新しい情報はないが、少し追記を。

ファシスト政党・黄金の夜明けのメンバーによって、計画的に殺されたラッパー・Killah P(本名はPavlos Fyssas)、先に載せたリンク(ちゃんとリンクされてなかったので修正しました)や他のサイトを見ていると、彼の職業は金属工とある。いわゆるアンダーグラウンドのラッパーだったということだろう。インディーやアンダーグラウンドという概念がほとんど理解されない日本ではこの件がニュースに上がっても、書かれ方は「ヒップホップ歌手(AFP)」とか、NHKに至っては「反極右の歌手」や「人気ヒップホップ歌手」とまで書いてある。このラッパーが人気だったかどうかは知らないが(そもそもNHKの「人気」の基準というのは一体何なのだろうか)、彼が肉体労働をしていた、という描写はもちろんない。
彼は音楽で生計を立てていたわけでないだろうし、以前ギリシャの友人のパンクスがインタビュー(ここ)で言っていたように、ギリシャのこの手のシーンのDIYアティチュードは度を越したとも言える徹底ぷりで、ライブはもちろんタダ、音楽よりも活動優先というのが当たり前である。現地のパンクスも普通にアンチファ・ヒップホップを聞いていたし、何よりスクワットに集まるのは、アンチ・ファシズムの活動の基に集まったあらゆる人たちである。勝手な推測だが、彼もこの手のシーンにいたのではないだろうか。その中で目を引いた活動をしていたから、標的になったのかもしれない。それがNHKの言う「人気」なのだろうか。

さて、事件が起きたのはピレウスのKeratsiniという労働者階級の地域らしい。そこのカフェみたいなところでサッカーを見ていたらファシストに待ち伏せされて、後は昨日書いた通り。世界のどこでも大体そうだと思うが、町というのは住み分けがされており、特に様々な民族が暮らす町ではそれが顕著だ。ギリシャのアテネでは、このストリートを越えたらパキスタン系、ここは中華系、こっちは金持ち、エクサヒアはアナキスト地区と、綺麗に分かれていた。それぞれ雰囲気も違う。滞在していたスクワットの友人に、あっちへは行くなと言われた先は、黄金の夜明けがよくいる区域だった。あっちは行くなとか、なるだけ避けろとか、各地で不文律も存在する。そんな住み分けのされている中で、待ち伏せをしてまで殺害したわけだから、完全に意図したものであろう。現地の友人曰く、この犯人には移民襲撃などの余罪もかなりあるらしく、それなりの罰を受けることになるだろうけど、それがどうしたと意気消沈していた。最近の世論調査では支持率がぐんと上がって、3番目に支持されているような勢いだという黄金の夜明け。この殺人者の後ろにはネオナチでもレイシストでもないけど、何となくこのファシスト政党を支持している層がいるわけで、その数がさらに増えていると。日本に置き換えれば、在特の嫌がらせデモを「銃後」で喜んで見ているネットの人々か。

その黄金の夜明け党は、今回の事件は党とは一切関わりがない、と言っているらしいし、大手メディアもそれに従っていると言う。使い捨ての鉄砲玉にされるのはいつの時代、どこでも変わらない。これを機に、無意識にネオナチ政党を支持している層が、黄金の夜明けとは殺人政党であると認識をすればまた変わってくるのかもしれないと、良心的な記事は言っていた。
ギリシャ各地で即座に行われたデモでは、警察の催涙弾をまともに受けて失明した人もいたらしい。連帯の動きはギリシャを越えて世界各地へ広がっている。また友人から何か情報が入ったら追記しようと思う。このまま一つのニュースとして消費され消えていくのは嫌だ。
killahp

20. September 2013 by sats
Categories: activism, greece | Tags: , , , , | Leave a comment