スコピエの映画館

アメリカのコロラド州で銃撃事件があったせいで公開前から不幸な目にあった『ダークナイト・ライジング(原題『The Dark Knight Rises』)』だが、スコピエでも日本と同じく7/27に公開した。前作『ダークナイト』は、ジョーカーの虚無的なキャラクターが素晴らし過ぎて大変印象に残っており、新作がこの夏に公開すると聞いていたので公開時に滞在している町で観ようと思っていた。こちらの友人たちも皆同じで、『ダークナイト』を受けて新作の公開を楽しみにしていた。公開翌日の7/28(土)に、総勢6人でスコピエのショッピングモール内にある映画館に出かけた。


夜11時から始まるレイトショーに行ったが、事前に買っておいたチケットは1枚150ディナール(約235円)と、日本で一番安く映画が観られる価格だと思われるシネコンのレイトショー価格(平日夜1,000円)などと比べても格段に安い(日本の映画料金が高すぎるのはかなりの問題だと思うが・・・)。劇場は300席くらいの大きなもので、券のもぎりのおじさんが入り口前で一枚一枚手でチケットを破って入場。席は指定席。11時過ぎから新作のトレイラーが始まったが、まだ半分以上は席にもついておらず、客電も付きっ放し。物凄くざわざわした中でトレイラーも終わり、さて本編が始まるころなので皆静かになるのかなと思ったがまったくその様子もなく、まだ席についたりお喋りしたりである。客電もまだ付いている。そんな中で映画は始まったわけで、すべての照明が消えたのは上映開始5分後くらいだった。

中指立てているのはイヴァン

映画はマケドニア語字幕なので読めるわけもなく、聞き取れない会話が結構ある中(ベインの言っていることなどはもう大変である)、とりあえず観賞。個人的にはあっさりし過ぎなのと各エピソード間の繋がり方が弱かったように思え、セクシーでツンデレなキャットウーマンを演じたアン・ハサウェイがあまりスクリーン映えするように撮られていなかったのが残念ではあった。
さてマケドニアの人々、映画が終わったらまばらな拍手もある中すぐに席を立ち、エンドロールを見届ける人などは一人もいなかった。エンドロールすら最後まで流れることなく上映は終わった。あっさりしている。

日本のあの映画を観るたびに必ず流れるマナー喚起や盗撮男などの映像はもちろんなく、上映中も携帯をいじったりこそこそお喋りするのも聞こえたが、別に映画を観ることが神聖な行為なわけでもなく、ただひと時の娯楽として皆楽しんでいる感じではあった。ここ数年、地元岐阜のロイヤル劇場が昭和の名作を500円で上映しており私も時々足を運んだ。去年の夏そこで『トラック野郎 爆走一番星』を観た時、60過ぎのおじさんが酒飲みながら星桃次郎を見てカッカと笑ったり、「市民なんかどこにいる。金持ちと貧乏人の二つだけじゃねえか!」というボルサリーノの名セリフを聞いてかどうなのか老人夫婦が楽しそうにこそこそ話をしたりしていたが、その時と近い印象だ。笑いたければ笑い、喋りたければ喋る(但し小声でね)。もちろん例えばミヒャエル・ハネケの映画でそんなことする人はあまりいないと思うが、ただその空間を楽しもうとしているんだなあと。映画なんてこうやって楽しめばいいんだと思ったが、日本ではフィルム上映の危機を迎えているとも聞くし、浅草の名画座も消えようとしているとツイッターで読んだ。残念な話である。
まあマケドニアにもシネフィルはいて、そんな人たちはこのような映画館でうるさい客たちと一緒に映画を観るのに大変な時間を過ごしているのかなと勝手に妄想もしたが。

04. August 2012 by sats
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