帰国

約5ヶ月の今回の旅も終わり、10月半ばに帰国した。帰国してから何か書こう書こうと思っていたが、心が変に落ち着いてしまってなかなか筆が進まない。旅行先で少なからず感じている高揚感というのは、何か物を書くにはもってこいなのかもしれない。

当初はもっと長くなる予定であった今回の旅も、予算(思ったより金を使ってしまった)と旅先での心境の変化等もありここらが潮時かと思っての帰国であった。帰国してしばらく東京に滞在していたが、そこで若松孝二の訃報を聞いていきなりショックを受けた。今一番失ってはいけない映画監督が、いなくなってしまった。若松監督の60年代、70年代の映画にはかなりの影響を受けた。ここでも書いたが、私は名古屋駅西にある若松氏が所有している映画館・シネマスコーレの会員になり、私のモノの見方の基となるような映画をたくさん観た。今後どうするか、このまま日本で暮らすのか、やはりもっと外を見てみるのか、暮らすならどこで、何をして、外を見るならどこへ、などと様々な思いが交錯する中帰国したわけだが、帰って早々これは堪えた。残念である。ツイッターか何かで見かけたが、今年頭に亡くなったギリシャの映画監督・テオ・アンゲロプロスも交通事故だった、若松監督と同じ76歳だったらしい。アンゲロプロスのことはel zine vol.12への寄稿で少し書かせてもらったが、何とも残念なことが起きてしまった。今は若松監督の遺作となってしまった『千年の愉楽』を心待ちにすると共に、氏の旧作を順番に観返すしかない。

そんなことを考えながら、この旅で訪れた土地に関する本や映画などを観たり、世話になった友人たちに連絡して近況を聞いたりしながら、やはり何か物事が終わったらそれなりにまとめてみることをしないといけないなと思っているが、当たり前のように目の前にある「現実(=平たく言えば、目先の生活費の捻出!)」に辟易したり、約半年の不在で日本全体の、自分の周りの何かが劇的に変わっていないか(=「よく」なっていないか)という漠とした根拠のない身勝手な期待も当然虚妄に終わり、またその今の環境に妙に落ち着いてしまい、私を後押しする異国の滞在という事実ももうここにはなく、なかなか書くことができないでいた。旅行中の細かい話なんていうのはいくらでもあるのだが、まあそれを語るべき人に直接話すだけでいいのか、それともここに書き記しておいた方がいいのかという逡巡もある。まあいつまでもそんなことに拘泥していても時間の無駄なので、その中でネタを取捨しながら、ポツポツと書いていこうかと。

というわけで、また書き出します。

11. November 2012 by sats
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