KOFA(2回目) | 焔と煙霧

KOFA(2回目)

まだ韓国映画が見足りなかったので再び韓国映像資料院へ。
(1回目はこちら
今日は麻生久美子似はおらず、薄化粧に大きな黒縁メガネをかけている典型的な韓国学生のような担当員だった。

어둠의 자식들
暗闇の子供たち/Children of Darkness part1
1981年 監督:イ・ジャンホ

ソフトがないためパソコンでVOD経由で観賞。どれがソフトがあってどれがないのかがわかりにくい。韓国映画のデータベースサイト、KMDBで観たいものを探して紙に書いて提出するのだが、DVDもVHSもないものでも実は観れたのだろうか、謎だ。

映画は、急激な経済発展に取り残されるかのように、ソウルの暗い路地で身を鬻いで何とかその日暮らしをする娼婦たちの物語。以前ここに来た時に読んだ佐藤忠男・李英一著の『韓国映画入門』で佐藤忠男がかなり推していた一本だったので観てみたが、なるほどとてもよい映画である。主人公の女性は歌が好きでドサ回りの楽団で歌を歌っていたが娼婦に転落して子どもが生まれるも死なしてしまい・・・と不幸の典型を地で行く。途中、傷痍軍人と思われる片足義足の男が客としてやってくるが、彼女はそれを見るや逃げてしまう。その義足の男は年増のおばさんに慰められるように受け入れられる。ラスト、子どもを失ったり他人から子を譲り受け(たんだと思うが、相変わらずのノー字幕なので仔細はわからない)たりと自分の人生について見つめなおすことで、ラストは両足がない男が客として現れるも、まるで菩薩のように彼を受け入れる。日活ロマンポルノの名作中の名作『(秘)色情めす市場』の芹明香とまではいかないが、負けず劣らずの崇高さを最後に見せつけられた。

続いて2本目はVHSだった。

만다라
曼陀羅/A Buddhist Ascetic Mandara
1981年 監督:イム・グォンテク

先日に引き続きイム・グォンテク作品を観賞。
一人の真面目な僧と一人の不真面目な僧の映画だが、正直これは字幕なしでは何が何だかよくわからなかった。というのも借りたVHSの映像がまるで3倍モードのような荒さで、所々映像が悪すぎてブルーバックになってしまう始末。それでも根が真面目にできている私は一生懸命観てみたのだが、こればかりはどうしようもないなと半ば諦めてしまったので不完全な観賞だった。ただラストで破戒僧を火葬するシーンの雪景色に映える炎が異様に美しく、こんなの字幕付きでブルーレイで観たらイチコロだよと思いつつも、やはり他言語との距離感はなかなか縮まらないなと消沈した。まあ禁欲的な僧がソウルの街に出てきて女の子とニャンニャンしたりうまそうにジョッキビールを飲んだり警察に尋問されたりと画的に面白いシーンもあったが。それがどういう流れでラストのある種の解脱につながったか、という点と点を繋ぐプロセスを知るには、やはり字幕はいるよね、という話だ。
ちなみに主役の真面目な僧役は韓国の国民的俳優アン・ソンギだった。

さて、自分が生まれた年製作の韓国映画を字幕なしで二本も観るとさすがにどっと疲れるが、この施設にはせっかく地下に劇場があるのに行かないわけにもいかない。今日は怪人キム・ギヨンの「火女」がかかる。
カウンターでチケットをもらい、しばし待って入場する。座席数328席の比較的大きな劇場で、平日の16:30からの上映だからか客は学生やおじいさんおばあさんがポツポツいるだけだ。

화녀
火女/Woman of FIre
1971年 韓国

わー!キム・ギヨンだ!と言っても、輸入盤でDVD-BOXと『下女』のDVDを買って観て、あと雑誌TRASH-UPでの「大韓トラッシュ」特集で記事を読んだくらいだが、こちらの友人に聞いてみると、ちょっと奇天烈でヘンな映画を撮ってた人だよね、と言うので期待は高まる。どこかで本作は『下女』のリメイクだと読んだことがあるが、他にも『下女』のセルフリメイクが幾つかあるそうで。そういえばチョン・ドヨンが家政婦役の『ハウスメイド』が去年日本でも公開された。
ストーリーはもう『下女』そのままで、ある作曲家の中流家庭に家政婦として入った女が主人と関係を持ち、夫人とああだこうだなりながら最後は主人と家政婦が心中、夫人だけ生き残ってしまったという話。
この映画、時折突然の爆発音と共に入る話の筋とは関係ない無数の静止画の嵐がかなり恐ろしく、火山の噴火、人間の手術シーン、戦争の風景など、何か人間存在の低劣さを根本からあざ笑うかのような嫌な印象を植え付けられる。家政婦の情事を通してそんなことを描きたいのかは知らないが、段々と横柄になっていく家政婦の態度と相俟って、悪夢的である。
ラストシーンも徹底的に嫌味全開で、悲嘆に暮れる夫人が尋問されていた警察署を出ると外は大雨で、坂を下る夫人の背後から黒い水が夫人に迫ってくる。そんなバカな!と思う量の水だが、段々と水の量が増していき、夫人の片方の靴を流し取って靴はあれよあれよと坂の下へ。そこに傘を差し伸べる、一緒に警察署にいた家政婦の幼馴染(美人)・・・。

この後午後7時からヘルツォーク『アギーレ 神の怒り』がかかったが、友人とノリャンジンという町の市場で刺身を食う約束をしていたため観れず(しかしながらこの日は市場の一斉引越しデーだったため刺身は延期・・・)。6月はヘルツォーク・レトロスペクティブということで、ヘルツォークのTV放映のみのドキュメンタリも上映したりするらしい。羨まし!

01. June 2012 by sats
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