ファシストを殺せ

ギリシャのだいたい中央に位置するヴォロスという街にいる。港と山に挟まれた人口10万人弱の小奇麗な街である。
こちらの友人のはからいで、Matsaggou Squatというスクワットに滞在している。スクワットというのは屈伸運動ではなくて、廃墟に住み着いてその建物を自分たちのものにすること。主にヨーロッパで多く行われている。日本じゃなかなか考えられないような概念である。数年前にヨーロッパにバンドのツアーで行ったときにドイツやオーストリアのスクワットでライブを行ったことがあったが、ここも時々ライブをやったり公民館のように地域に貸し出したりしているそうだ。この建物は古くはタバコ工場だったらしく、素晴らしく巨大なビルをスクワットしている。そのスクワットに着いた日の夜の出来事である。

バーのような台所で数人と話していたら、一人の電話が鳴り、瞬く間に彼の血相が変わった。何でもアンチ・ファシズムの活動中の仲間が、ファシストがポスターを貼るのを目撃したらしい。
ギリシャはご存知のように国の財政が破綻しかけており、先月の選挙では緊縮策の是非を巡って連立政権ができず、選挙のやり直しが本日行われる。場合によってはユーロ離脱で国が破滅してしまうような深刻さである。その破綻に伴い先日の選挙で議席を伸ばしたのが、移民排斥を訴えるファシスト政党「黄金の夜明け」であり、彼らはそのファシストの勃興に拮抗すべく日々様々な活動を行っているそうだ。ヴォロスはまだ左派寄りの街のため実質的な被害はないそうで、アンチ・ファシズム活動を警戒して中心部には近づこうとしないらしい。

正直なところ、ポスターくらいで・・・と思ってしまったが、それは私が事の深刻さをわかっていないからだろう。彼らの取った行動は、電話で仲間を集め現状の確認を行い、角材とヘルメットを車に積み込んで目撃情報のあったところへ向かうことだった。バイク数台、車3台で向かった先に標的はいなかったので、市内をグルグル回り、「黄金の夜明け」党のポスターを見つけたら即座に引き剥がす。パトロールのようでもあるがその緊迫感は、内戦という歴史を持つギリシャの、現在進行形の内戦のようでもある。
その夜はファシストとの接触はなかったが、ある若者に聞けば、時々遭遇して暴力沙汰になることもあるそうだ。それどころか、夜やることがなくて暇な時はファシストを探してボコボコにするのが趣味だと言っていたが・・・。

まあネオナチ政党の勃興などは日本人の自分にとっていいことなどひとつもないので是非やめて頂きたいところだが、先月の選挙で21議席を獲得し、今回は更に議席を増やすのかが懸念されている。

ヨーロッパのルーツとなる歴史しかないお荷物国家と揶揄されるギリシャの行方と、ファシズムの勃興。本日今正に行われている選挙の結果でどう転ぶのか。失業率や人々の勤勉さなど、まったく似ていない部分もあるが、多額の財政赤字を抱える日本の未来を暗示しているようにも思えるギリシャの現状。どうなっていくのだろうか。

17. June 2012 by sats
Categories: greece, squat | Tags: , , | Leave a comment

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