フィリピンのハードコア、パンクシーンにて -その1- | 焔と煙霧

フィリピンのハードコア、パンクシーンにて -その1-

東京/福島のパンクバンド、THE HAPPENINGの手伝いで、バンドのフィリピンツアーに参加した。

ツアー自体は全部で3週間ほど、私は後半部分担当(前半は福島のノブ君)。最終日マニラのライブは選挙の影響でキャンセル(会場が押さえられなかったとか何とか)になってしまったので、ネグロス島とミンダナオ島の町々での出来事について書いてみようと。ちなみにライブをやった町は、Bacolod(ネグロス島)、ミンダナオはDavao, Genson(ライブがあったのは北西のPolomolok)、MalaybalayとIliganの各町。

まず最初に、どんなバンドがいたか。これはもう、一言で言えば、90年代後半の日本(全国的にそうだったのかは知らないけど)のあのエアキックボクシング大会を思い出すような、そう、ニューヨークハードコアスタイルが大人気だった。Polomolokのライブなんかは、13バンドくらい出た内の8割はNYHC。とにかくもう大ウインドミル大会。バンドも踊るHCキッズ(笑)たちもみんな若いので、とにかく元気元気。酔っ払って倒れちゃうやつもいたけど、変にかっこつけて気負ったような緊張感もなく、和気藹々としたNYHCといった感じだった(MCの一言一言にいちいち”Mother fuckin’”がついていたりはしたが、フィリピンの人たちはほとんどが英語話者でもあるので、ぎこちなさは皆無)。こっちのライブはなぜか各バンド3曲くらいずつしか演奏せず、その割りに1晩で10何バンドとか出るので(ある地元の人は、バンドがライブをする機会をできるだけ多く持たせるためだ、と言ってた)、踊る、休憩、踊る、休憩のサイクルが潤滑で、どのライブもあっという間に終わっていた。逆にライブ前に仲良くなった人のバンドを見ようと思ってると、いつの間にか終わっていて見逃したりもした。

PolomolokのHCキッズたち

PolomolokのHCキッズたち

毛色の違うハプニングで結構な盛り上がりだったので、もっと音の近いバンドが行ったらとんでもないことになりそうな気がした。というわけで、そんな感じのバンドはどうぞ迷うことなくフィリピンツアーを。

Davao

Davaoでのライブ。これでもハプニングは演奏中(写真の右の方)。みんなそれぞれ楽しみたいように楽しむ。

ちなみに1999年に日本のTRUTH OF ARISEがツアーをしたそうで、そのライブを見たという人も何人かいた。TRUTH OF ARISEが去ったあとに、フィリピンパンクスはみんなパッチを作り、ジャケットやパンツに縫い出したそうだ。

さて、フィリピンのパンクス、HCキッズの一番素晴らしいところ。それは間違いなく彼らのホスピタリティであった。
どこへ行ってもちゃんと寝るスペースを用意してくれているし、何より最高だったのが、どこでも出てきた手料理だった。これは文字通り最高だった。来る前はフィリピン料理というのがいまいちピンとこないでいたが、いざ来てみればこちらは白米文化。魚も焼いたり時には生で食べたりするし、カラマンシーという、ライムに仄かな甘みを足したような緑色の魔法の果実が、どんな料理にも程よいアクセントをつけて食欲も進んだ。調子に乗って色々食べてたせいなのかどこかで生水を飲んだせいなのか、ツアー後半は腹を下しっぱなしだったけど(こんなひどいのは初めてだった・・・)、彼らの料理は本当にうまかった。皆料理の術を知っていた。
共有し合う心、というのがこちらの人の誰もが身に着けている習慣のようなもので、料理は鍋一杯作ってみんなで食べるし、たばこは持ってたら持ってない人にあげる、というのがどこの町に行っても当たり前だった。それでもやはり来訪者をもてなすことは忘れずに。
今から憂鬱で仕方がない、来たる東京オリンピックのプレゼンで、滝川クリステルが「OMOTENASI」とか何とか言ったらしいが、日本の場合それはすなわち金と引き換えに、表面的な「贅沢」をさせることだろう。そう、すべて金儲けのためだけじゃないか。滝川よ、おもてなしの心はフィリピンにあるのだ、よく覚えておけ。ここには金はないが、心はあるんだよ。

以下はPolomolokでの朝の風景だが、NYHC大好きなキッズたちが10人くらい集まって、朝から調理して(誰かのお母さんも来て手伝ってた)、隣の庭からパパイヤを採って(もちろん「ちょうだいね!」って声をかけてから)、ココナッツもどっかから山ほど取ってきて、私たちも混じってみんなで食べた。

polomolok

ガスコンロなんて使わない


ポロモロク

隣の庭からパパイヤ狩り


ポロモロク

生ココナッツジュースも飲み放題


polomolok

ジャックフルーツのココナッツ煮込み、野菜炒め、白米、さっき採ったパパイヤ


Polomolok

Polomolokはパイナップル・シティー。労働者の7割がデルモンテのためにパイナップル・ワークをしてるそう。


Polomolok

Polomolok・NYHCシーンをハイテンションに取りまとめるナイスガイ、PJ。

Bacolodでライブを企画してくれたジェドが言っていた。彼らは空いていたという結構豪奢な邸宅にたくさんの友人たちで住んでいる(ある種のスクワットみたいなもの)。「海外に行ってみたいけどそんな金は誰も持っていない。でも金はなくても自分たちの時間は大切にしたい。だからみんなで協力して一緒に暮らしてるんだよ。今日は仕事休んで、でもちょっと金がないから明日は仕事に行って、って感じで。たまに食べるものがなくなることもあるけど、そんなときは隣の家に行って何か分けてもらう。ご近所が困ってるときは米を分けてあげたりする。そうやって毎日生きてるんだよ」。

(その2へ続く)

31. October 2013 by sats
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