ハルキディキからスコピエへ、旅の休憩点 | 焔と煙霧

ハルキディキからスコピエへ、旅の休憩点

先項でも書いたが、ギリシャ最後の滞在地はハルキディキというテッサロニキより南東へ行った三つの半島の、Dionisiouという小さな町。ここでマケドニアとセルビアの友人たち総勢8人で、毎日ビーチとアパートの往復をしていた。ビーチは人もそんなにおらず、水も綺麗でちょっとしたプライベートビーチ気分すら味わえた。

彼らの半分ほどはベジタリアン、ヴィーガンなので、料理は基本的に自炊。自国から大量の食料を持ち込んで、自分たちで作って食べた。もう調理方法も熟知しているようで、どれも今まで食べたベジタリアン料理と比べ物にならないほどうまく、これなら別に肉を食べる必要もないなと思った。

そんなバカンスに誘ってくれたのが、マケドニアの首都スコピエでFuck Yoga Recordsというユニークなレーベルをやっているイヴァンである。バカンス後、一緒に彼の住む街へやってきた。

彼とは、2008年に友人のバンドの代理でヨーロッパツアーに行ったときに知り合い、その後もたまに連絡を取っていた。彼のレーベルは最近だとイギリスのMoss、日本のSeta Star Sept、セルビアの何とも形容がしがたいクラストバンドDAZD、アメリカのNoothgrushの幻の音源と、音楽の種類に捕らわれないスタンスで様々なエクストリーム・ミュージックをリリースしている。音楽、レーベルのリリースに対する自分の信念を絶対に曲げない硬派な男だが、お腹には悪い顔をしたピカチューのタトゥーがあったり、何より彼の作るヴィーガン料理が本当にうまい。ギリシャで食べたものよりも更にうまく、昔アメリカのフィラデルフィアで食べたグルテンミートという擬似肉を使ったヴィーガン・ホットドッグの悪夢を消し去ってくれる。あれは最悪だった。
そんなイヴァンは毎日細々としたレーベルの雑務をこなしている。6畳くらいの部屋には所狭しとレコードや今までのリリースの在庫があり、注文の度にレコードのインナーや帯などを作って作品を完成させてパッキングし、郵便局へ自転車で向かう。地元でFuck Yogaのリリースを買う人はほとんどおらず、ほとんどをマケドニア国外に流すらしい。地元にこういった音楽が根付かないのは悲しいと言っていたが、最早諦め半分でもあった。

人口200万人程度の小さな国・マケドニアは日本人にはあまり馴染みがない国だが、国旗は日章旗の別カラー版のようでもある(そのおかげかどうか知らないが、マケドニア人は日本渡航時にビザがいらないらしい)。また1963年に起きたスコピエの大震災後には、日本人建築家の丹下健三氏が都市計画を行ったらしく、日本人と言えば「ケンゾウ タンゲ」と言わんばかりに有名である。
旧ユーゴのこの国はまだユーロにも加盟しておらず、おかげで物価は安く旅行者にはありがたい。今日は35ディナール(約54円)のピザ・クロワッサンを食べ、20ディナール(約31円)の地元産コーラを飲んだ。おとつい買った地元のアーティストの本は230ディナール(約354円)だった。
馬鹿な旅行者である私はユーロのシェンゲン条約というもののせいで今後の旅程について日夜悩まされているが、この国はシェンゲン圏でもないのでひとまず安心して滞在していられる。シェンゲン条約というのは、加盟国間をパスポートのスタンプなし、すなわち入国審査なしで行き来できる便利なものではあるが、ひとたび加盟国に入国したら、その日から180日以内の間に90日しか加盟国に滞在できないという、長期旅行者にとっては厄介この上ないなものである。例えばギリシャに3ヶ月、フランスに3ヶ月というのはまったくもって不可能なのである。

まあ既に当初の予定とはまったく違う旅程になっているのだが、シェンゲンのおかげでこの旅の先も見えてきた。この後は旧ユーゴ諸国を友人の友人を辿って周り、ヴォロスでよく遊んだフィンランド/トルコのハーフ野郎とどこかで合流してエジプトに行くかもしれない。その後はもう自分の最底辺にある欲求に従ってルートを決めたい。これは誰でもない私の旅である。

↓一緒にバカンスしてたセルビアの友人のバンド。これぞノイズコア!!!

28. July 2012 by sats
Categories: beach, foods, greece, macedonia, music, people | Tags: , , , , , , , , , | Leave a comment

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