新大久保より その2 ~レイシズム狂い~

3月17日、ここで書いた在特会のデモがまた行われるというので、実際に新大久保へ行ってみた。
事前にネット上で見た情報だと、その在特会デモに対抗するアクションとして、「レイシストしばき隊」や「プラカード隊」なるものが行動を起こすとのことで、それらに直接参加する気はないけど、どんなものなのだろうかなと思いながら。聞けば「しばき隊」は女人禁制ということで(他にもルールが幾つかあるらしいが)、一緒に行った私の相方はその男性主義に呆れていた。「女性お断り」は、私たちは危険な相手に対して危険を伴う行動をするから女性は危ないですよ、という「善意」からなのか知らないが、そんなことは男が性差を以って一方的に決めることではない、というごく当たり前の考えから彼女は呆れていたわけだ。こんなことを書くとよくある「しばき隊」批判として受け止められるのかもしれないが、正直な気持ちである。ここでマイノリティーを排除してどうするのだと。

さて、youtubeなどで幾つか在特会のデモを見ていたが、実際に目の当たりにするデモでも相変わらず日章旗や旭日旗、それに満州国の国旗があったり、やはりここで改めて文字にする気も失せるような下卑な言葉のプラカードやコールが跋扈していた。こんな稚拙というか、単なる嫌がらせにしか見えない聞こえない低劣なデモ自体が行われてしまうことに、やはりうすら寒さを感じた。どう見てもメッセージというよりは、落書き、ネットの匿名掲示板への書き込みの延長である。大久保通りの歩道をデモ隊を追うような格好で歩いていたら、日の丸にXのプラカードを持った方が手から血を流していていたり(この方はその後、そのプラカードのせいでしばき隊のメンバー(?)にネットで批判されていたようである。何と気の毒な・・・。)、機動隊が洗練された抜群のチームワークで通せんぼごっこをして一般の通行人すら往来不可能になっていたり。警察がファシストとがっぷりなのはどの国でもお馴染みの光景である。不運なことにその時間帯に大久保にいたせいで偶然デモに出くわしてしまった人たちの表情は一様に呆然としており、大久保通りのお店の人たちは機動隊に通行人に商品を倒されることを心配しながら、ただ嵐が過ぎるのを待つのみのようだった。

在特会デモ @新大久保 2013.3.17

以上のように在特会のデモは、やはり単なるヘイトスピーチ、本人たちの憂さ晴らし、デモを行う土地の人たちに迷惑をかけることが目的としか言いようがなく、正直こんなしょうもない人たちに自分の時間を使うのはバカみたいだなと思ったりもしたが、昨年ギリシャで見たような強大なファシズム、レイシズムが既に世界中で存在することを知りながら、自分のすぐ目先にあるレイシズムの萌芽に見て見ぬ振りをしたくもない。前にも書いたが、問題は在特の後ろにいる未知数のネット右翼であったり、その活動を応援はしないけど何となく雰囲気として韓国とか中国嫌いだからまあいいんじゃない?、という類の人たちである。なのでやはりこれ以上在特会のようなグループをのさばらせるわけにはいかないだろう。日曜のデモは通りをプラカード隊の人たちが埋め尽くしていたし、デモ隊側のコールがかき消されるくらいの罵声が歩道側から飛んでいた。このままカウンターが広がって、在特会が萎縮すればいい。そしてとりあえず、彼らのデモがなくなればいい。

先日、在特会の内情に迫る安田浩一氏の著書『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』を読んだが(この著者の相手に寄り添おうとする視点はとても好きだ)、在特会のメンバーも、社会に家庭に居場所がなく、ネット上で繋がった先にあったのが在特会だった、というわけで、今となっては既成の左翼はリベラルでも何でもなく単なる優等生の権威主義になってしまって魅力なし、そこをパルチザン的に打ち破っていく保守こそが革新的で破壊的、そんな素敵な保守に魅了され回収されていくらしい。私はこれを、時代が用意してしまった彼らの受け皿が在特会であったと読んだが、在特入りした人たちも、何かきっかけが違えば他の余地も十分残されていた、残されているのではないかと思う。そしてそこはまた、私たちにとっても他人事ではない、紙一重の世界であるような。私がハードコア・パンクに十代の鬱々とした日々を溶かしたように、彼らも在特会でこの時代の閉鎖感を拭っているのかもしれない。もちろん支持する余地はないが、つまりはスウェーデンのクラスト・パンクバンド、Kontroversの歌詞にあるような、こういうことだ。


KONTROVERS – Nazi Insanity (ナチ狂い)

憎しみに導かれ、お前は行進する
──でもお前はなんで憎むんだ?
従いやがる
ひん曲がった心に拵えられた言葉にな
イカれたナチ狂いの言葉にな
お前はなにを知ってるんだ?
──なにが正しいんだ?
お前はどう間違いないんだ?
嘘が嘘に続く
お前は理由もなく憎みやがる

レイシズム、ナチズム、ファシズムはみな無知の結果だ。このようなイデオロギーに信頼を寄せる人々はつねに悪というわけじゃない。彼らは多くの場合、誤って導かれ、騙されているんだ… 悪い要素に取り囲まれ、間違った場所で成長すれば、俺たちでもナチになるかもしれない。俺たちはいかなる手段を使ってもファシズムを潰さなければならない──だが、潰されるべきはつねに誤って導かれた人間ではなく、堕落した理想だということを覚えておいてくれ。

from Skendemokrati 7″EP

Acclaim Collective Blog/ Angry Punk Songより

19. March 2013 by sats
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