イスタンブールの友人

半球体に角が生えたような態を見せるモスクがそこかしこに点在し、そのまわりの埃りっぽい赤レンガの屋根の群れには無数のパラボラアンテナが割れた貝殻のように並ぶ都市、イスタンブール。
タクシム広場から下るIstiklal通りをひとり歩けば、見知らぬ現地人が執拗に声をかけてくる。「タクシム広場ってあっちだよね?」というわざとらしいくらい他愛もない会話から順番にエスカレートして飲みに誘われるのである。日本人の勝手なイメージなのかもしれないが、「トルコ人は日本人に対して優しい」という話を聞いたことがあるし双方の一般的な認知もある程度はあるだろう。そして彼らのような詐欺師は明らかにそこにつけ込んで商売をしている。彼らの存在だけでここが嫌いになりそうな、非常に鬱陶しい人たちである。

さて、今回まず最初に世話になったHakan君。

2日ほど一緒に遊んだが、いつもお母さんから「あんたどこにいるの?」とラブコールがかかってきていたのは彼が独りっ子で寵愛されているからなのだろう。小遣いがもらえないから遊べない日もある彼はまだ17歳だが、ストレート・エッジでヴィーガンだと言っていた。そしてストリートパンクが好きらしい。あれは酒飲んで酔っ払ってポゴる音楽だと思っていたが、すべてがそういうわけではなさそうだ、きっと。

次に世話になったのはコソボからこちらの大学にやって来ている若者たちのアパート。Acid Mothers Templeやボアダムスなど日本のバンドが好きなテフィック君、下ネタとトランス大好きベスタン君、通信系エンジニアに興味があるゲンチャ君の3人で住んでいたが、皆建築を専攻しているらしい。日本の歴史建造物について色々聞かれるので、義務教育レベルの稚拙な知識を披露する。

ベスタン君(左)とテフィック君(右)


彼らはある夜、ネットラジオをやってるからとガサガサ作業し出し、そこにいた他称画家の寡黙な友人が台本のテキストを読み始め、ネット配信し出した。
トルコ語なので何を喋っているか皆目わからないが、毎週テーマを決めてやってるそうなので、興味がある方は以下のサイトへ。
http://pesrev.caster.fm/

コソボ、と聞くとどうしても旧ユーゴ時代の戦禍を思い出してネガティヴなイメージを勝手に持ってしまうが、アルバニア語とトルコ語と英語を巧みに使い分ける彼ら曰く、まあコソボには何もないけど、ビールは1本70セント、タバコは2ユーロもしないし悪いところじゃないよと。また一つ警察すら入れない無法地帯があって、小学生が大麻草の林の間を抜けて学校に通っていると言っていた。
そんなテフィック君とMP3の交換をして、私は三上寛と友川カズキとジャックスをあげ、彼はバルカン半島周辺の色々な音源をくれた。
その中でよかったのが以下のギリシャのサイケロックバンド。詳細はよくわからないが、不協和音で気怠さ全開である。

Το Ψυγείο Ψυγείο

イスタンブールではこういった風景がよく見られる。小さな子どもが1本1リラ(約44円)もしない500mlのペットボトルの水を何本も抱えながら、「スィーチェ、スィーチェ」と叫んで行商しているのだ。主に貧しい家庭の子どもらしいが、6歳くらいの小さな女の子から中学生くらいの男の子まで、たくさんいた。壮麗なモスクの内部よりも、スカーフを巻いたムスリムの女性たちよりも、こちらの方が明らかに脳裏にくっついている。

12. June 2012 by sats
Categories: music, people, turkey | Tags: , , , | Leave a comment

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