ヴォロスの友人

今回のヴォロス滞在でスクワットやら何やら手配してくれた友人グレッグ。サッカーを見る人が周りにあまりいない中ユーロカップ(開催にあたって野良犬野良猫の一斉駆除があったために、動物愛護に基づいて反対運動があったらしいが)のギリシャvsドイツ戦をバーに見に行ったり、ヴォロスの山側の村へ連れて行ってくれたりした。厳ついガタイでかなり年数の経っているヤマハの原付を乗り回す彼は80年代後半からシーンにいる人物で、様々なバンドを見てきたらしい。

そんな彼は7inch Distroというレーベル/ディストロをやっているが、やはりこの経済破綻の影響をモロに受けているギリシャ国民の一人である。
彼の父親はギリシャ内戦をコミュニスト側で過ごした人物で必然的にロシアに逃げなければならなかったことは、ギリシャの近現代史を身近に感じた一つのエピソードだが、現状の話はやはり想像以上に厳しい。収入について、週5日、一日8時間という日本とほとんど変わらない勤務状態での収入が月480ユーロ(約48,000円)だと言う。以前は700ユーロ以上あったものが、ここ数年でどんどんカットされているそう。
ギリシャはご存知のようにユーロ圏で、通貨ユーロも導入している。例えば町のどこにでもあるキオスクでネスカフェのネスティー500mlを買うと1本1.60ユーロ(約160円)する。日本より高い。ガソリンも日本より高く、レギュラーで1.70ユーロ(約170円)/1リットルもしていた。この上様々な税金や保険ももちろんあり、家賃も払わなければならない。絶望的な経済状況の中を国民の大多数が何とか暮らしているわけだが、ここでも先日のクサンティのように皆連日遅くまで外でダラダラしているのを見る。若者だけでなく、おじさんおばさんもたまに見かけるのである。なるほど、これはそうすることでしか現状を受け流せない、深刻になり過ぎないギリシャ人の対処方法なのかもしれない。
家でボーっとしていたらどんどんデプレッシブになってしまうだろう。確かに最近自殺者が増えたとは言っていたが、外でダラダラすることで皆と状況を分かち合い、協力して何とか生き残っていこうとしているようにも思える。傷の舐め合い、と言ってしまったら失礼だが。

どれくらいお金が無いかという話。
こちらでバンドをやっている友人曰く、例えばここヴォロスからアテネにライブに行こうと思っても、交通費がバンド4人車1台で往復120ユーロ(ガス代80ユーロ、高速代40ユーロ)かかるので、とてもそんな費用を捻出することはできずに遠征を諦めるしかないらしい。またこちらのハードコア・パンクのライブはかなり強力なDIY(Do It Yourself)の精神に基づき、基本的にスクワットや公園、広場などで行われるので入場料もなく、そこで売るビールなどからほんの少しだけ上がりを得てツアーバンドに寄付したりPAのギャラに宛てたりするらしい。通常ハコを借りるのに10万程度の費用を必要とする日本のライブハウスでのハードコア・パンクのライブの話をしたら、かなり苦い顔をしていた。彼らにとってライブをすることもやはり資本主義やファシストに対抗する手段であり、そのプロセスももちろん考えられるべき要素である。スクワットに「パンクにビジネスを持ち込むな!」というステンシルがあったが、正にそれを地で行くわけである。表層だけではない。本気なのだ。

先日そんなこちらのライブに行ってきた。場所はヴォロスから50kmほど西にあるラリッサという内陸部の町(こちらの人はラリッサのことを「何も無い田舎だ」「ラリッサで一番いいのは、「→ヴォロス」と書いてある看板だ」など、必要以上にバカにする)にある大学の敷地内の芝生広場。夜11時過ぎに到着し、ライブが始まったのが12時半くらいだったが。全部で4バンドの出演、3番目に演奏したCensored Soundというバンドが、音はいわゆるYouth Crewな感じだったがカッチリしていてかっこよかった。選挙の前日だったため、ファシスト政党が大きな箱いっぱいの銃を手に入れていただのアテネはやはりカオス状態だだの、そのあたりの情報交換をしていた。もちろん酒飲んでダラダラするお馴染みの光景も見られたが。

同じように聞こえる音楽でも、国が違えばあり方がまったく違う。この国ではほとんどのハードコア・パンクは反資本主義、反ファシズムでないとやってられないのである。

01. July 2012 by sats
Categories: greece, music, people, squat | Tags: , , , , , | Leave a comment

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