テッサロニキの友人

ギリシャ第2の都市テッサロニキは、地下鉄建設のために穴を掘ればそこらじゅうからローマ時代、ビザンティン時代のの建造物が出てきて工事がストップしてしまうような、歴史の上に歴史が積み重なった町である。港の広場には古い塔が立っているが、ここはかつて拷問のための施設だったらしく、それが今は平和のシンボルだというから歴史認識というのは何とも妙である。

そんな地元の情報を教えてくれたディミトリス君。以前マケドニアの友人から紹介してもらった彼はGo Filth GoというノイズD-Beatバンドをやっている。このバンドのロゴはちょっとした縁があったということで日本のSUGI氏が描いており、彼も結構な日本通である。話をしているうちに、ヴォロスやアテネで一緒にいた友人とも知り合いであると言うので、やはりこのシーンは狭いものだと思う。ギリシャの人口は1000万人足らず。その中でハードコア・パンク、スクワットの横のネットワークで繋がっているわけだから、当然と言えば当然か。

ディミトリス君と彼女ファニ、そして拷問塔


元々テッサロニキのスクワットに泊まらせてもらう予定だったが、滞在の1週間ほど前に警察がそのスクワットに押し入り、25人のスクワッターが逮捕されてしまい今は旅行者が泊まれるような状況ではないとのこと。この騒動も、元々はスクワッターやアナキストの中の内輪モメが発端で、その隙を警察が突いてきたらしい。細かい主義主張の違いがお互いを襲撃する事件にまで発展し、怪我人やスクワットの破壊まで起きたそうだ。やはり自治というのは何らかの内的問題を孕むものでもあるみたいだ。この件に関してはこれから裁判が始まるらしい。
代わりにメリナという女性の半スクワットみたいなビルにお世話になった。ここは元々衣料会社のビルだったものを、今は家賃を払って借りて住んでいるそうだ。1フロア50坪くらいありそうなだだっ広い事務所である。滞在中彼女は廃材を使ってチューブのようなものの先に電球がついているオブジェクトのようなものを一心に創作していた。こういったアートな道具などを作っては、それを売ってくれる店に卸して小金を稼いでいると言っていた。主に金持ちが買うらしい。この他ウェブデザインをやって収入を得ていると言っていたが、要は自分で自分の時間をコントロールして十分な創作活動の時間を作っているわけである。

しかし話を聞けば、やはりこの国の現状に耐えられずに外で仕事を探して国を離れる人も多いらしい。様々な種類のアートを勉強して資格や単位を持っているパンクスも大勢いるので、それが金になる北欧などで仕事が見つかればそれこそ収入も莫大なものになる。先の見えないこの国にいるよりも選択肢としては現実的なわけである。
ふと、「ふるさとは遠きにありて思ふもの」を思い出す。但し室生犀星ではなく、『トラック野郎』シリーズ一の名作『度胸一番星』の星桃次郎のセリフとして。果たして私は日本を離れてどこかで生活することができるのだろうかと自問する。3.11後、更に様々な問題が顕在化した日本。インターネットが繋がるたびにニュースやツイッター、ブログなどをチェックするが、今はやはりこちらで吸収できるものを吸収し、帰国後、何か他の「生きる」方法がないか模索したいと思う。

16. July 2012 by sats
Categories: greece, music, people, squat | Tags: , , , , , | Leave a comment

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