2017年 映画ベスト | 焔と煙霧

2017年 映画ベスト

さて、今年ももう終わりなので、毎度のごとくこれを一応書いておこうかと。
今年もそんなに劇場で映画を見たわけではないので、去年書いたようにもうこんなことはやめてしまってもいいのだろうが、まあ惰性とメモ代わりに書いておきます。
今年は劇場で見たのが31本、内新作は16本。去年よりは増えたがそれでも一時期よりは少ないなあ。
以下順不同です。

  • ゲット・アウト(2017年 アメリカ/ジョーダン・ピール)
    これは今年ずばぬけて良かった。監督はコメディアン出身だそうで、役者の細かい仕草などが、「リベラル」な人たちですら(というか「リベラル」だから、という意味なのかもしれないが)心の底に持っているレイシズムをあぶり出すのに一役買ってて素晴らしかった。主役がラストで捕まるというオリジナルのエンディング版も見てみたいが、あまりにバッドすぎる。
  • ELLE エル(2016年 フランス/ポール・ヴァーホーヴェン)
    イザベル・ユペールはもちろんだが、他の登場人物もかなりハチャメチャで、あんな内容なのに見終わって爽快感すら感じさせるのは、さすが巨匠バーホーベン、恐れ入りました。
  • フリー・ファイヤー(2016年 アメリカ/ベン・ウィートリー)
    銃で撃たれても、そんな簡単に人は死なないらしい。去年の『ハイ・ライズ』、その前の”A Field in England”みたいなサイケなひねりはなく、この監督は分かりやすい活劇を撮った方がいいのかもしれない。
  • 予兆 散歩する侵略者 劇場版 (2017年 黒沢清)
    『カリスマ』や『回路』から『叫』くらいの黒沢清作品の延長みたいな画面の暗さ、禍々しさが、本編『散歩する侵略者』より明らかに不穏だった(もちろんあっちはあっちで良かったけど)。東出が言いました、「死はいつだって隣にある。これは運命だ。受け入れろ」と。TV版でちゃんと見たかったな。
  • 従軍慰安婦 (1974年 鷹森立一)
    1本だけ旧作。これは見れてよかった。なぜかクライテリオンからは出てる鈴木清順の『春婦伝』もそうだが、日本盤DVDを早く出すべきでしょう。

あとは『ムーンライト』はアカデミー賞を取ってなかったら恐らく公開されてなかったんでしょうが、映像もストーリーも美しい映画。韓国映画の『哭声』は、前にも書いたが色々考えた結果、韓国の田舎&土着文化礼賛の子供だましに遭ったような映画だったという結論になった。『お嬢さん』を見逃したのはどうやらバカでした。旧作だと、ようやく見れた『牯嶺街少年殺人事件』や、ヤン・ニェメツの『夜のダイヤモンド』は、前情報通り、さっさと見ておかないといけない映画だった。こういうのを逃すと海外盤DVDやBRのひどい英語字幕で見るしかなくなるので、見れるときに見に行くべき。
「町にある最後のレンタルビデオ屋が無くなるまで、ああいうネットのストリーミングサービスは使わない」とは、サンフランシスコの友人の談だが、私はそんなことお構いなしに今年はNetflixをよく見た。2,3年前に見逃していた映画が結構入ってたり(あと今はやたらと東映のヤクザ映画が入ってたり、「トラック野郎」も10作全部入ってる)、あとよく言われるように、ここ最近のアメリカのドラマは映画よりも予算があるからなのか、面白いものが多い。「グッド・プレイス」、「23号室の小悪魔」は腹がよじれるくらい笑ったし、まだ全シーズン見終わっていないが、「ボージャック・ホースマン」もそう、時々死にたくなるくらい救いがないが。他にも見たいけど見れてないのも多数あり。寝る時間を惜しんで見るしかなさそうだ。
海外盤DVDで見たのだと、恐らくフランス社会の「ルール」や階層になじみがなさすぎて(=基本情報の説明が映画内でされないので)日本未公開の、イザベル・アジャーニ主演の2008年の仏映画”Skirt Day”は、ライシテを徹底するアジャーニ先生と悪ガキ生徒たちとの文字通りの「戦い」が、その後の「テロ」をも予見していたり(よくわからないジョーク?もいっぱいあったが…)、akの好きな映画だと見せられた”Station Agent”(2003年 米)は、今や「ゲーム・オブ・スローンズ」で人気者のピーター・ディンクレイジが主役のオフビートコメディで、安易なクライマックス等もなくサラっと見れてよかった。あとは前に書いたが、カナザワ映画祭で字幕をやった作品で『ミュータント・フリークス』は最低で最高。『マッド・ボンバー』も、ラストの肉片から「♪あなただけなの」のエンディングテーマへの流れは、やばいものを見てしまった。
あとこれを書いておこうと思って忘れていたんだった。1963年の川島雄三監督『喜劇 とんかつ一代』で、以下の写真のような自走式レコードプレイヤーが出てきた。あまりにかっこいいのでほしくなったんだが、ネットを探しても、どこにもこんな再生機の情報はない! 情報求む!

この機械が机の上に置いてあるソノシートの上を、クルクルと回るのだ。

このでかいプリンみたいな機械が、机の上に置いてあるソノシートの上をクルクルと回るのだ。

来年は時間がありそうなので、たくさん新作を見たいところ。去年のベストで書いたヨルゴス・ランティモスやミヒャエル・ハネケの新作は、どちらも3月公開だそうで。楽しみ。
読んだ本や聞いた音源は来年書くとします。それでは良いお年を。

30. December 2017 by sats
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