2016年 映画ベスト

月並みですが、今年もよろしくお願いします。

去年は春から秋までカナザワ映画祭の字幕をずっとやってたので、体感的にはこれまでにないくらい映画映画の毎日だった気がするのだが、その字幕作業のせいで時間がなかったのか、はたまた金がなかったせいなのか、全然映画館に行っていなかった…。まあでもここ数年はこんな感じか。
ということで数えてみたら、劇場で見たのはカナザワ入れたら29本。新作は10本! 少ない。カナザワ映画祭でほぼ全ての映画を見てた人がいたみたいだが、それだけで50本とかだから、もう私は「映画を見ている」なんていうことは言わない方がいいレベルだな。
でもまあ毎年のことなので、順不同でつけておきます。カナザワのは抜いたけど、旧作1本入れて。

  • キャロル (2015年 アメリカ/トッド・ヘインズ)
    年間そんなに映画を見ない私のような人間は、その中でこういうちゃんとした映画をもっと見た方がいいんだろう。ak曰く、終盤、Sleater Kinneyのキャリー・ブラウンスタインのカットシーンがたくさんあったとかで。
  • クリーピー 偽りの隣人 (2016年/黒沢清)
    香川照之も西島秀俊も十分クリーピー。「男」度が強い夫をよそに、ドラッグ漬けになる妻(竹内結子)が妙に説得力があった。
  • 貞子vs伽椰子 (2016年/白石晃士)
    とにかくテンポがよくて、ジェットコースターのようにラストへ。おまけに姉御肌の山本美月が好きになりました。
  • 少しの愛だけでも (1975年 ドイツ/ライナー・ベルナー・ファスビンダー)
    「見栄」のためにカード破産する若夫婦の話。別の日に見た『マルタ』でも描かれてたけど、男女の無意識的な社会的「役割」がここまではっきりさせられてしまっているのは、この時代のドイツでもそうだったのかと。
  • この世界の片隅に (2016年/片渕須直)
    空襲がクレヨンの絵と重なるシーンでウルっときて、終盤の旗シーンでハっとなって。戦争が終わるまで日帝が実際に何やってるかなんてのは市井レベルではわからなかったんだろうし、終わっても結局誰が何やったか、責任も何もかもアヤフヤのままでよくわからず、それが70年も経てばキレイさっぱり。目取真俊の言葉を借りれば、日本も「戦後ゼロ年」のままだ。

その他:『シン・ゴジラ』は日本政府があまりに有能でゴジラが可哀想で、あと早稲田松竹で見た『ストレイト・アウタ・コンプトン』はすげー興奮したな。ギリシャの「奇妙な波」のヨルゴス・ランティモス『ロブスター』は、レア・セドゥ率いるAセク・ゲリラも矯正施設もどっちも勘弁してほしい。来年はアメリカで撮った”The Killing of a Sacred Deer”というのが公開されるそうで楽しみ(この記事。そういや来年はミヒャエル・ハネケの新作もやるのね。昨今の移民問題を扱ったフランス映画らしいので、『コード・アンノウン』みたいなのか)。あと楽しみにしてた『ハイ・ライズ』は、PortisheadのSOSのところで終わってたらいい映画だった。
DVDやビデオで見たのだと、去年はなぜかケン・ラッセルの映画をよく見て、中でも『恋人たちの曲・悲愴』、『リストマニア』、『マーラー』のクラシック音楽コンポーザー伝記映画はどれもハチャメチャ躁病映画でよかったな。爆音で見てみたい。

あとはカナザワ映画祭でクリスピンや代表がお勧めしててようやく見た『26世紀青年』(Idiocracy/2006年)は、人間がバカになりすぎてる未来の話だが、『ゼイリブ』もそうだけど、風刺が風刺で済まなくなってる現状なので、笑ってばかりもいられない。

そのカナザワ映画祭のことは、先日クリスピン・グローヴァー氏のことは書いたが、期間中に見た他の映画について少し。『好色日本性豪夜話』という謎映画で流れてた、Roll Outというアシッド・フォーキーなバンドの「幸せって何」という歌だけが今も気になって仕方がない(映画自体は、かぐや姫や一寸法師などのおとぎ話を無理矢理ポルノ化したようなグダグダ感満載)。ググっても何も情報見つからないのよね、誰か知っていたら教えてください。
あと自分が字幕をやった作品で、『ウォーターパワー』は新しい映画の楽しみ方を知った(?)し、そして”Brotherhood of Death”(上映時は『クロンボ遊撃隊vsKKK団』というタイトルだったが…)が、白人警官による黒人殺しが取り上げられるようになったここ数年の状況とマッチしてて、こういう機会でもなければ知ることもなかったいい映画に巡り合えたなあと。ちなみにこの映画、翻訳の元になる英語字幕も何も情報がなかったので、相方akに手伝ってもらって、ヒアリングしながら字幕作成した労作でした。しかし、映画は打ち上げ花火、上映は一度きり。テーマ曲の”Get Off Your High Horse”というのがえらくかっこよくて、特にエンドロールのバージョンはレコードにもなっていないみたいで、それを代表がアップしてたので貼っておきます。アメリカはもちろん世界中が自滅してるような感覚あふれる昨今なので、この歌詞は身にしみます。

今年はこのままいくと映画館に行くタイミングがさらにまったくなさそうなので、困ったなあ…。内田裕也の『餌食』のビデオを実家から持ち帰ったので、テープが切れるまでこれを見ていようかな。

03. January 2017 by sats
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