アテネ・ナウ

日本ではあまり外に出ずにインドア根暗生活を送っていたせいもあってか、こちらの強烈な陽射しは自分の体を容赦なくジリジリと焼いているように感じる。ギリシャに入って約1ヶ月、この暑さになかなか慣れることができずにいるが、地元の人間も日中は出かけずまあ同じようなものなので、ああそんなもんなのかと安心もした。午後6時以降にならないと外出はできない。日中に外に出るのは太陽に丸焼きにされに行くようなものである。日焼けで皮膚はめくれるし、日射病に3回くらいなりかけた。

一応観光客っぽいことも・・・。

そんな陽射しを毎日受けながら、アテネはやはり荒れている。地下鉄の車両はまるでニューヨークのそれのようにグラフィティで埋め尽くされ、人が住んでいる地域、特に移民の居住地域はそこら中ポスターとグラフィティだらけできれいな壁やシャッターを見ることはほとんどない。そこら中に物乞いをする人、ホームレスを見かけるし、白昼ドラッグを取引する輩やこれから正に飛ぼうとしているジャンキーも見かける。またある日は町のパソコンショップに黒い覆面を被った強盗が入り、周りの人々が彼らを退治しようとする一件に遭遇した。ホステルで会ったカナダ人はアテネ到着早々財布を掏られたらしい。元々こういった感じではあったらしいが、この経済危機以降さらに進んだと地元の友人は言う。エクサヒア(Exarcheia)というアテネのアナキストのホームグラウンドによく出かけたが、ここにも相変わらず特段やることもなくて安ビールを飲みながらダラダラしている人たちが大勢いる。
アテネではパキスタンや中国系の移民を多く見かける。移民。日本でもニュースになったかと思うが、こちらでは件のファシスト政党の最下層の人によるのか、移民を襲撃する事件が後を絶たないらしい。ほぼ毎日のようにどこかで起きているそうだ。地下鉄で突然移民を刺したりするらしいが、問題なのは周りの人が見て見ぬふりをして、誰も助けようとしないことだとこちらの友人は言う。そしてそのような事件が起きたとしても、警察も動かないらしい。警察とファシストが癒着しているという話も聞く。また移民たちは自分たちの生命を守るべく、集団を形成して犯罪に及ぶこともあるそうだ。もちろん彼らに仕事などないのだろう。ただ生き抜くためにそうするしかないのだろう。
ここでファシストの勃興に拮抗すべく、街中にあるスクワットを中心にアンチ・ファシズム運動が繰り広げられているらしいが、一つ通りを越えればそこはもうファシストたちの仕切る地域。ファシストがスクワットを襲撃したり、アナキストがファシスト事務所を襲撃したりの繰り返しが数年前から続いているらしい。

2008年のギリシャ暴動の発端となった、15歳少年が警察に射殺された現場。

ある週末、Strefi Hillというエクサヒア近くの丘で、一連のアンチ・ファシズムに関連するパーティーがあった。コートでフットサルをやったり(こちらには古くからアンチファ・サッカーチームなどが存在する)ギリシャで人気のあるバスケットボールをやったり。一見アンチファの運動とは無関係にも見えるが、意をほぼ同じくする人たちが集い、何かを催す、というのはこちらではごく一般的なもので、要は日々の生活の中にそれらが間断なくすべて同じレベルとして存在しているのである。日本のように例えば仕事と家庭、趣味などと、それぞれが妙に独立してしまい共存が難しくなっているようなことはない。またそのスポーツの後にはさらに丘を上ったところでハードコア・パンクのライブがあった。Villa Amaliasという今年で24年目を迎える古参スクワットのベネフィットライブである。私も訪れたが、築100年を越える古い建物の中に広いライブスペースがあったり、ポスターなどを自由に印刷できる古い印刷機があったりの、アテネの活動の中心となるスクワットである。
さて、もちろんギリシャ時間なのでライブ開始は午前0時近く。2番目に演奏したDirty Wombsというバンドが、日本のハードコアの影響をモロに受けたようなサウンドで、Death Sideのカバーまで披露していた(音源でもブズーキというギリシャの伝統的な弦楽器まで使ってカバーをしている)。

もちろんその場にいた全員が同じ意見を持ち同じ方向に向かっているわけではないが、日々の生活の中でこういったイベントを通して意見を交換し、尚且つ自分たちも楽しむという姿勢がギリシャ人の根底に流れているように感じる。もちろん1杯のフラッペを何時間もかけて飲みながらおしゃべりやゲームを楽しむという、地中海特有の元々のリラックスさもそこに通じるのだろうが。それは怠惰か、否、限りある時間を自分たちのために楽しく使っているのだ。

09. July 2012 by sats
Categories: greece, music, people, squat | Tags: , , , , , | Leave a comment

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