EL ZINE vol.24 -KALTBRUCHING ACIDEATH インタビュー

EL ZINE vol.24は2/24(金)発売です。
今回は東京のステンチコア・バンド、KALTBRUCHING ACIDEATHの4人にインタビューしました。
その長ったらしい名前ゆえなのか、なんだかんだで知名度は高いらしいですが(メンバー談)、20代のオタクな彼らが普段何を聞いて、何を考えながらバンドをやってるのかなどを聞きました。いつも色々変な音楽を教えてくれるマイメン、ギターのTRIの好きなバンド&発言は要チェックです!

発売後は手元に数冊在庫ありますので、ほしい方は連絡ください。
600円+送料100円です。


elzine24
EL ZINE vol.24
A4/表紙カラー・本文モノクロ/表紙含め全50ページ/定価600円(税込)/2月24日発売予定

[内容]

●MATEUS MONDINI
(ブラジルのレーベル:NADA NADA DISCOSのオーナーにしてパンク・カメラマンでもある、MATEUS
MONDINIへのインタヴュー&フォト・ワークス。ちなみに今号の表紙は彼の撮影したMASSHYSTERIの写真です)

●RESISTANCE 77
(UKのベテランOi!パンク・バンド:RESISTANCE 77のヴォーカルであるOddyへのインタヴュー)

●LASHING SPEED DEMONS:AMEBIX
(AMEBIXの結成からを詳細に綴ったバイオグラフィーby 大越よしはる氏)

●AMEBIX
(ギタリストのStigへの最新インタヴューby Luis)

●POK GAI
(カナダのポゴ・パンク・バンド:POK GAIへのインタヴュー)

●BLANKS 77
(USキング・オブ・ポゴ・パンク!復活を果たしたBLANKS 77へのインタヴュー)

●90′s USポゴ・パンク・ディスク・レヴュー
(VA「Pogo Attack」などで盛り上がっていた、”あの頃”のバンドの音源を紹介)

●PSYCHOTIC YOUTH
(今年ニュー・アルバムをリリースしたばかりのスウェーデンのパワーポップ・バンド:PSYCHOTIC
YOUTHのメイン・パーソンであるJorgenへのインタヴュー)

●KALTBRUCHING ACIDEATH
(東京の若手クラスト〜ステンチコア・バンド:KALTBRUCHING ACIDEATHへのインタヴューby 鈴木智士氏)

●INMOH
(名古屋の新星ジャパニーズ・ハードコア・パンク・バンド:INMOHのヴォーカルであるKentさんへのインタヴュー)

●kriegshogロンドン・ツアー・レポート
(前号のインタヴューでも話題に上っていた、2016年秋に敢行されたロンドン・ツアーのレポートを、ベーシストのシンゴ氏に執筆してもらいました)

●PUNK AND DISTRO
(日本各地で活動しているDIYなパンク・ディストロのオーナーに、アンケート形式のインタヴューを行ないました。今回は沖縄のORION PUNX
RECORDS、福島のculture、津山のVOX POPULIに登場して頂きました)

●ES GIBT KEIN WERT
(発行人によるディスク・レヴュー)

16. February 2017 by sats
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20170205

今月から相方akが国に帰ってしまったので、またさみしい一人暮らしが始まったのだが(過去にも何度かあったのだが)、一人になると時間が増える、と言ったらakに失礼だが、生活する上でいつも一緒にいる人、頼る人がいなくなるので、おしゃべりや遊ぶ相手を一時的に失った上に、いやがおうにも全部自分でやらないといけないから、自分でコントロールする時間が増える、というだけのことなのだろう。まあいつもダラダラしている身としては、たまにこういう機会があるのもいいのかもしれんけど。

さて、そんなakはアメリカ国籍なのだが、今回の帰国時には入管で別室送りになったそうだ。なんでも名前が「移民ぽいから」という理由だけで。まあ「白人だから入管はノープロブレム」という考え方は、よく言う”privilege”、つまり既にそれ自体がトランプ的というか、エスノセントリズムの陥穽に真っ逆さま状態なのだが、今回の大統領令により入国を制限されている国以外からであっても、今後はアメリカ入国時にはSNSを開示しないといけないとか、いろんな情報が未確定のまま飛び交っている。今後バンドでアメリカ入ることなんて、少なくともトランプ時代の4年間はものすごくハードルが高いんじゃないのか? 普通に遊びに行くのすら大変そうだ。akについてってそのうちアメリカで生活しようかなと心のどこかで思ってた身としては、もうしばらくは様子見だ。それにこの4年の間に、アメリカ帝国は急激に「傾き」そうな気もする。何が起こるか不安でたまらない、というのは反トランプの人たち(もちろん一枚岩じゃないが)はもちろん、世界中の人が日夜思ってることなんだろう。確かに、ケリーアン・コンウェイ大統領顧問といういかにも怪しいおばさんが、「就任式の参加者数が史上最大だった」というショーン・スパイサー報道官の大ウソを擁護するかたちで放った、「Alternative-fact」(もう一つの事実?代替的事実?)という言葉は、え? 何言ってるの? としか反応しようがない。都合が悪くなったら今度からは「あ、あれは実はオルト・ファクトでさあ」とでも言うのがこのpost-truth的トランプ時代のニュースピークなのだろうか(ここにきて『1984』がベストセラー、ってのもある意味アメリカ的というか、核恐怖のためにシェルターをこしらえるのと似てるような)。

そんななか木曜日に見たMDC、ほんとよかったな。もう30何年も移民やマイノリティのこと、警察国家のことなんかを歌ってきて、まったくブレてない人の表現ってのは本当に心にひびく。それだけやってきているからなのかもしれないが、こういう現状にも悲観はしていないようなステージで、それを逆手に取って皮肉たっぷりに批判する、というのがアメリカのバンドだなあと。あんな61歳になりたいものです。

05. February 2017 by sats
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2016年 読んだ本の中から

去年は読んだ本の感想文をタラタラとここに書いていたので、そのまとめも兼ねて、新刊とか関係なしに、印象に残ったものをあげておきます。

  • 富士 /武田泰淳(文春文庫)
    稲生平太郎氏と高橋洋氏という、これまたカナザワ映画祭にも関連するお二人の名対談本「映画の生体解剖」(洋泉社)で、「手術台」や「水」というカテゴリと合わせて載る予定だった、「武田泰淳」というカテゴリがカットされてしまった、というのを前にどこかで読んだが、そこに、この『富士』は相米慎二が映画化を企画していたとも書かれていた。この正常と異常のあるかないかわからない境目が、どのように映像になったのか、非常に気になる。去年の今上天皇の「生前退位」なんて、正にこの富士のような不条理な話じゃないのだろうか。
  • 希望、平和通りと名付けられた街を歩いて/目取真俊
    「インターネット上でどれだけ吠えようが、議論をかわそうが、実際に工事が進められている現場に人が集まらなければ話にならない。」(目取真俊氏の1/2のブログより:沖縄を1日ん早く「基地の島」ぬ苦世から解放さーびら。
  • ブラック・メタルの血塗られた歴史 / マイケル・モイニハン、ディードリック・ソーデリンド著、島田陽子訳(メディア総合研究所)
    ようやく読んだ。著者がBlood Axisの首謀者というのを途中まで知らなかったのだが、今やパンクもメタルも玉石混交なので、CRASSの本とこれを一緒に本棚に置いておいても誰も文句は言うまい。感想はここの真ん中らへん
  • 殊能将之 未発表短篇集 / 殊能将之 (講談社)
    去年はこれが出たのですごく嬉しかった。memoの書籍化待つ!
    感想はここの真ん中あたり
  • 時間 /堀田善衛(岩波現代文庫)
    辺見庸の『1937』において背骨のような役割をしていた、堀田善衛による「南京事件」についての小説を年の暮れに読み終えた。読んでると具合が悪くなってくる(特に前半)ような作品だが、途中でストップできる類のものでもない。「逃亡と暴発」を重ねた帝国陸軍の「他人事」感とは対照的に、主人公の中国の文人・陳英諦が吐くことばは、まさに時間をこえて現在にも通用してしまう。

    「わたしが、目を蔽いたくなるほどの悲惨事や、どぎつい事柄ばかりをこの日記にしるしているのは、人間が極悪な経験にどのくらい堪えうるか、人間はどんなものか、ということを、痛苦の去らぬうちに確認してみたいがためにほかならない。」P.191

あとは脈絡もなく、シャーリィ・ジャクスンの『くじ』の文庫化(ハヤカワミステリ)や『なんでもない一日』(創元推理文庫)をパラパラと読んで、毎回イヤな読後感を楽しんで、似たようなのでブライアン・エヴンソンの”Windeye”も相変わらず妙な話ばかりだったし(と言ってたら、また読み切らない内に邦訳が出てしまった…)、何かのアンソロジーで読んだ村山槐多の「悪魔の舌」というのが、飛騨の男がなめくじ飲み込んだり墓堀り返したり。あとは薩長をテロリストとする『明治維新という過ち』(原田伊織著 毎日ワンズ)は面白かったな。

イヤになることばかりで、本を読むことはその逃避なのか、それとももっとイヤな気分になって、心の浄化作用を起こすことなのかわからないが、もうすこし筋のある読書をしないといかんなと思いつつ、積読は消化していかないといけない2017年になりそうです。

04. January 2017 by sats
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2016年 映画ベスト

月並みですが、今年もよろしくお願いします。

去年は春から秋までカナザワ映画祭の字幕をずっとやってたので、体感的にはこれまでにないくらい映画映画の毎日だった気がするのだが、その字幕作業のせいで時間がなかったのか、はたまた金がなかったせいなのか、全然映画館に行っていなかった…。まあでもここ数年はこんな感じか。
ということで数えてみたら、劇場で見たのはカナザワ入れたら29本。新作は10本! 少ない。カナザワ映画祭でほぼ全ての映画を見てた人がいたみたいだが、それだけで50本とかだから、もう私は「映画を見ている」なんていうことは言わない方がいいレベルだな。
でもまあ毎年のことなので、順不同でつけておきます。カナザワのは抜いたけど、旧作1本入れて。

  • キャロル (2015年 アメリカ/トッド・ヘインズ)
    年間そんなに映画を見ない私のような人間は、その中でこういうちゃんとした映画をもっと見た方がいいんだろう。ak曰く、終盤、Sleater Kinneyのキャリー・ブラウンスタインのカットシーンがたくさんあったとかで。
  • クリーピー 偽りの隣人 (2016年/黒沢清)
    香川照之も西島秀俊も十分クリーピー。「男」度が強い夫をよそに、ドラッグ漬けになる妻(竹内結子)が妙に説得力があった。
  • 貞子vs伽椰子 (2016年/白石晃士)
    とにかくテンポがよくて、ジェットコースターのようにラストへ。おまけに姉御肌の山本美月が好きになりました。
  • 少しの愛だけでも (1975年 ドイツ/ライナー・ベルナー・ファスビンダー)
    「見栄」のためにカード破産する若夫婦の話。別の日に見た『マルタ』でも描かれてたけど、男女の無意識的な社会的「役割」がここまではっきりさせられてしまっているのは、この時代のドイツでもそうだったのかと。
  • この世界の片隅に (2016年/片渕須直)
    空襲がクレヨンの絵と重なるシーンでウルっときて、終盤の旗シーンでハっとなって。戦争が終わるまで日帝が実際に何やってるかなんてのは市井レベルではわからなかったんだろうし、終わっても結局誰が何やったか、責任も何もかもアヤフヤのままでよくわからず、それが70年も経てばキレイさっぱり。目取真俊の言葉を借りれば、日本も「戦後ゼロ年」のままだ。

その他:『シン・ゴジラ』は日本政府があまりに有能でゴジラが可哀想で、あと早稲田松竹で見た『ストレイト・アウタ・コンプトン』はすげー興奮したな。ギリシャの「奇妙な波」のヨルゴス・ランティモス『ロブスター』は、レア・セドゥ率いるAセク・ゲリラも矯正施設もどっちも勘弁してほしい。来年はアメリカで撮った”The Killing of a Sacred Deer”というのが公開されるそうで楽しみ(この記事。そういや来年はミヒャエル・ハネケの新作もやるのね。昨今の移民問題を扱ったフランス映画らしいので、『コード・アンノウン』みたいなのか)。あと楽しみにしてた『ハイ・ライズ』は、PortisheadのSOSのところで終わってたらいい映画だった。
DVDやビデオで見たのだと、去年はなぜかケン・ラッセルの映画をよく見て、中でも『恋人たちの曲・悲愴』、『リストマニア』、『マーラー』のクラシック音楽コンポーザー伝記映画はどれもハチャメチャ躁病映画でよかったな。爆音で見てみたい。

あとはカナザワ映画祭でクリスピンや代表がお勧めしててようやく見た『26世紀青年』(Idiocracy/2006年)は、人間がバカになりすぎてる未来の話だが、『ゼイリブ』もそうだけど、風刺が風刺で済まなくなってる現状なので、笑ってばかりもいられない。

そのカナザワ映画祭のことは、先日クリスピン・グローヴァー氏のことは書いたが、期間中に見た他の映画について少し。『好色日本性豪夜話』という謎映画で流れてた、Roll Outというアシッド・フォーキーなバンドの「幸せって何」という歌だけが今も気になって仕方がない(映画自体は、かぐや姫や一寸法師などのおとぎ話を無理矢理ポルノ化したようなグダグダ感満載)。ググっても何も情報見つからないのよね、誰か知っていたら教えてください。
あと自分が字幕をやった作品で、『ウォーターパワー』は新しい映画の楽しみ方を知った(?)し、そして”Brotherhood of Death”(上映時は『クロンボ遊撃隊vsKKK団』というタイトルだったが…)が、白人警官による黒人殺しが取り上げられるようになったここ数年の状況とマッチしてて、こういう機会でもなければ知ることもなかったいい映画に巡り合えたなあと。ちなみにこの映画、翻訳の元になる英語字幕も何も情報がなかったので、相方akに手伝ってもらって、ヒアリングしながら字幕作成した労作でした。しかし、映画は打ち上げ花火、上映は一度きり。テーマ曲の”Get Off Your High Horse”というのがえらくかっこよくて、特にエンドロールのバージョンはレコードにもなっていないみたいで、それを代表がアップしてたので貼っておきます。アメリカはもちろん世界中が自滅してるような感覚あふれる昨今なので、この歌詞は身にしみます。

今年はこのままいくと映画館に行くタイミングがさらにまったくなさそうなので、困ったなあ…。内田裕也の『餌食』のビデオを実家から持ち帰ったので、テープが切れるまでこれを見ていようかな。

03. January 2017 by sats
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イスタンブールのソーシャルスペース/カフェ、infiAlのインタビュー

EL ZINE vol.22に掲載してもらった、トルコのアナキスト・ソーシャルスペース/カフェのinfiAlへのインタビューをこちらにも載せます。インタビューの経緯等については、こちらをご参照ください。


トルコのアナキストたちによる、イスタンブールのアナキスト・ソーシャルスペース/カフェ、infiAl
(EL ZINE vol.22に掲載)

当初は2012年に旅行していたときに、ギリシャのヴォロスでよく遊んでいたトルコ/フィンランドの二重国籍のヴィーガン・ストレートエッジの友人に、ここ最近トルコで起こった出来事について聞いてみようと思っていたのだけど、連絡してみたところ、どうやらまた彼は旅行に出ているようで、代わりにここに聞いてみたらいいよ、と紹介されたのが、今回インタビューを行った”infiAl”というイスタンブールのソーシャル・スペース/カフェだ。ここはスクワットではなくて、ボランティアで運営しているインフォショップのようなところ。結構「ガチガチ」と言うか、「本気」のアナキスト(トルコはギリシャと同じように、ラディカルなパンクスやアクティビストたちの「本気度」が高い気がするが、裏を返せば、それくらい切羽詰まった状況にあるということか)たちにより運営されているこのスペースだが、今回のインタビューでは、そのスペースについてというよりは、ここ数年、色々起こりすぎているのにニッポンのメディアに頼っていると断片的にしか得られないトルコの現状について、infiAl運営スタッフのひとり、Karaumut氏に、現地のアナキストの視点から話してもらった。このスペースについてもっと知りたいという方は、最後に連絡先が載っているので連絡して訪ねてみては。
(各質問への答えは、infiAlとしてではなくKaraumut氏個人としての答えです)

entrance
■infiAlはどんなグループですか? まず簡単な説明をお願いします。

個人として、人々の集団として、私たちは主に反乱者であり、動物解放、地球解放の運動に関わり、アンチファシストで、反文明的なグリーン・アナキストや、その他の関係するグループによって成り立っています。私たちのアナキストのネットワークには革命を志すもの、アナーコ・コミュニスト、エコロジスト、アナーコ・フェミニスト、LGBTQ+の活動家、動物解放活動家、パンクス、アナーコ・サンディカリストや、その他のリバタリアンがいます。私たちは、私たちが行っている活動や目的、アイデンティティのラベルづけをしません。ここではアナーコ・パンクスは15年以上一緒に活動をしてきました。地元での国際連帯のライブやデモの企画など、彼らと一緒に協働しています。
infiAlはイスタンブールのタクシム地域にある、アナキストのソーシャルスペースで、私たちの活動のうちの1つにすぎません。この地域には、難民やクルド人、貧しい人たちが住んでいて、タクシム周辺では、地元当局によってジェントリフィケーションが計画されています。このスペースを作った目的としては、まず、私たちアナキストがイスタンブールで集まってイベントや行動などを計画する場所が必要だからでした。場所は、ベヨグル地域ではなく、タルラバシュ地域である必要がありました。ベヨグル地域では、人々の関係は主に消費や商業主義によって成り立っています。一方タルラバシュ地域では、一般の人々と触れ合うことが多いのです。
ただ、先述のように、この場所の一番の目的は、アナキストの行動を活発にし、イスタンブールにおけるアナキストの関係を創造することです。それは、私たちの生活のあらゆる面においてシステムに反対し、その活動を広げることを志しています。また最近では、協同組合のような組織も始めました。連帯を目的とした、ヴィーガン料理やグルテンフリーの食材を提供する場所も備えています。
この場所は1年以上前に始めて、それ以来、討論会やアイデア、技術の共有の場、ワークショップ、映画、ドキュメンタリの上映、ライブ、読書会、連帯イベントなど、たくさんのイベントを行ってきました。またこのinfiAlには、”Kerem Kamil Koç”という名前のアナキスト図書館もあります。この名前は、去年亡くなった同志の思いを継いで、彼の名を付けたものです。またフリーショップもあり、そこではいらない服などを持ち寄って、それらを必要とする人が取りに来て無料でもらえるということをやっています。また今はアナキスト文献をトルコ語に翻訳する作業も行っていて、翻訳、出版のコレクティヴとしても利用しています。1999年以来、私や仲間たちで、何百もの記事や映像、パンフレットをトルコ語に翻訳しています。これまでに出版したジンは150以上あり、様々な名前で雑誌を出したりもしています。アーカイブはhttps://issuu.com/sosyalsavashttps://issuu.com/internationala で見られます。また映像はhttps://vimeo.com/moacmtv/videoshttps://www.youtube.com/user/sosyalsavastv/videosで見られます。

■2012年に私がイスタンブールに行ったときに、現地の友人がタクシムにあるアナキストカフェに連れてってくれました(名前は覚えていないのですが)。彼からトルコのアナキストやパンクスの活動の話を聞きましたが、あなたたちinfiAlは普段どのような活動を行っていますか?

君はタクシムの26Aカフェに行ったんだと思いますよ。26AカフェはDAFと密接な関係にある場所です。
2012年はトルコのアナキスト・シーンにとって非常に大変な年でした。イスタンブールで起こったメーデーの暴動以降、政府からの弾圧、特に私たちのサークルへの弾圧が激しくなりました。2012年5月1日、イスタンブールのメーデーのデモで、多種多様なアナキストや反権威主義のグループが連帯し、ブラック・ブロックを形成し、暴動が何か所かで起きました。ブラック・ブロックは何十もの資本主義的なお店や役所などを襲撃し、窓やドア、銀行のATMなどを破壊しました。これらの行動により、その会社、機関には何十万トルコリラもの損害が出ました。暴動から14日後、イスタンブールからトルコ北東部のトラブゾン、西部のイズミルからアンカラまで、トルコ国内各地のアナキストが大きな弾圧を受けました。結果的に62人の同志たちが逮捕され、銃を持った警察の特殊部隊によって強引な家宅捜索が行われました。この弾圧は、トルコのアナキスト・ムーブメントの歴史の中でも最初の大きな弾圧でした。警察は暴動の責任を私たちに押しつけ、逮捕された内の15人が拘留され、3か月の間、刑務所に収容されました。今はみな出所していますが、まだその件に関する裁判は続いています。

■個人的に、そのDAF(Devrimci Anarşist Faaliyet、”Revolutionary Anarchist Action”、「革命的アナキスト運動」)の情報も追っていますが、彼らと一緒に活動することはありますか?

DAFはイスタンブールを拠点とする、また別のアナキストのグループです。私たちは彼らとはあまり一緒に行動はしません。親密な関係にはありませんが、もしお互いに何か大きなことが起きれば、連帯し行動を起こすことと思います。私たちはこれまでにお互いのイデオロギーに関する非難があって、距離を置いているような状況です。ただ他のアナキストのグループにも敬意を払いますし、何か事が起きた場合には、DAFのような他のアナキスト・グループとの連帯が必要になるでしょうし、排除するようなことはしません。

現在のトルコの情勢について

■日本のメディアはトルコの情勢を詳しく報道しない(トルコだけでなく、ヨーロッパの移民問題や「テロリズム」のような国際問題についてもですが)ので、現地の情報を知りたくても知れないという人もいます。特に連続して何かが起きると、報道はあてになる情報を提供できません。
今年トルコで起きた出来事だけでも、大手メディアが報道したもので、1月のイスタンブールでのテロ、3月のアンカラでのテロ、6月のアタテュルク国際空港でのテロ、そして7月のクーデター未遂がありましたが、その他に小さな出来事も多数あると思います。これらの出来事について、あなたの視点から説明をしてくれますか? 政府やPKK(クルディスタン労働者党)、ISIS(イスラム国)との関係(政府はISISと戦闘を行うと同時に、クルド人勢力を弱体化させようと二面作戦を行っているとか)などは、こちらのメディアでも報道されていますが。

もちろん簡単な話ではないですが、できるだけ簡潔にお伝えします。
昨年2015年6月7日の総選挙で、AKP(公正発展党、保守で中道右派、エルドアン首相の与党)は議席を減らし、2002年の政権獲得以来初めて過半数を割った一方、HDP(国民民主主義党、トルコ西部の左翼グループと関係のある、クルド人系政党)は13%の得票を集めて躍進しました。与党であるAKPが、その力を弱めたのです。AKPは単独の与党でなくなりましたが、同時にほとんどすべてのファシスト組織がクルド人解放運動を攻撃し始めました。7月20日に、シリア国境に近いトルコのスルチという町で、ロジャヴァのコバニ(注1)の再建に尽力していた社会主義のグループ(SGDF、社会主義青年協会連盟)に対してISISの爆弾テロ攻撃が行われました。そのテロにより、33人の仲間が殺されました。内5名(Vatan Budak、Alper Sapan、Evrim Deniz Erol、Medali Barutçu、Serhat Devrim)は私たちのアナキスト同志でした。その他にケガ人も数名出ました。彼らはコバニの人たちの生活を再建するために、連帯し活動を行っていました。その事件のあと、スルチから東のセイランピナーという町で、警察が2人殺されました。これによりPKKと政府の和平交渉は中止され、日に日に状況はエスカレートしていきました。
この「スルチの虐殺」以前は、ISISによるHDPの会議などへの自爆テロが起こっていましたが、このスルチの虐殺により、内戦は新しいフェーズに入ったと言えます。国家権力はクルド解放運動やそのほかの革命的組織を狙って攻撃し始めました。10月10日にはアンカラで虐殺が起き、左翼グループやNGOなどによる平和的デモの参加者103人が命を落としました。そのうちの1人はアナキストの同志、 Ali Kitapçıでした。
これらISISによる攻撃を、政府は事前に察知していたと言われています。ただよく知られているように、AKP政府や当局はISISと協力関係にあり、あらゆる支援をしているため、政府はISISによる攻撃を止めようとしません。どこでも言われているように、トルコ政府はシリアなどで活動する戦闘的ジハード主義者たちに武器や資金を与え、保護をしているのです。
最近では、トルコ軍はシリアに侵攻してISISと共闘していますが、彼らの本当の目的は、ロジャヴァ革命(注2)とクルド人の自治を妨害することにあります。ISISと似たようなイスラム過激派たちと一緒にロジャヴァに侵攻しているのです。
私たちはイスタンブールのアナキストとして、(世界中のどの政府にも反対するでしょうが)トルコ政府に反対しています。私たちは、トルコ、シリア、イラン、イラクと、クルディスタンのどの土地においても、クルド人の独立を支持します。私たちは世界中のすべての人々の自己決定権を支持するのです。
ロジャヴァ革命はとても示唆的です。ロジャヴァ革命は、反権威主義でアナキスト的な考えや実践に触発されたものだからです。ただアナキストや反権威主義的な運動、というわけではありません。この運動は、反権威主義的な実践を鼓舞したり、そういった実践への議論を起こすことができると思います。目下、非常に苛烈な戦争が起こっており、クルド人やその他シリアの自治的抵抗者の自衛権は支援されるべきだと思います。

■7月に起きたクーデター未遂以来、エルドアン大統領は何をしようとしているのでしょうか。NHKの官報メディア化など、今実際に日本で起きていることにも近いのですが、政府にとって不利な情報を流さないために、エルドアンはテレビや新聞などのメディアを掌握しようとしているというニュースも見かけました。

これはあらゆる政府が持つ普遍的な精神だと思います。エルドアンがメディアをコントロールし始めたのは、何も7月のクーデターからではありません。最初からそうでした。2013年のゲジ公園蜂起(注3)のあと、AKP政府は革命的勢力や反対勢力、左翼グループを攻撃し始めました。クーデター後は、それまで何十年も共犯関係だったフェトフッラー・ギュレンを徹底的に攻撃し始めます。ギュレン運動(注4)に関係するメディアやメンバーの財産、銀行口座などを強制的に押収しました。これにより歯止めが効かなくなった政府は、クルド人解放運動や革命勢力をターゲットにしているのです。これまでに、HDPによって統治されていた30近いクルド人の自治体が政府によって占領され、その数はさらに増えています。政府は次に、HDPの国会議員をテロリズムの容疑で逮捕し、HDPの党自体を禁止するのではないかと言われています。これこそが本当のクーデターの状況下であり、この内戦はどんどんエスカレートしているように思えます。アナキストとして、私たちは準備ができているとは言えません。

■昨今の欧州への移民流入について、トルコにおける現状はどのようなものでしょうか? ヨーロッパの国々にとって、トルコは移民の調整弁のようにも見えます。

まったくその通りです。AKP政府はこの状況を、「アジアとヨーロッパとの架け橋」というように、自分たちのために利用しています。政府は何百万ドルもの資金をEUから得て、この「移民の洪水」をコントロールしています。これにより、政府はシリアで戦うためのジハード主義者たちを育てているのです。政府や保護組織の後ろ盾が得られるトルコは、戦闘的ジハーディストたちにとって天国のようなものです。何年もの間、政府に反対するアクティビストやジャーナリストたちは逮捕され、逆にそういったジハード主義者たちは釈放されています。政府以外でも、移民に対するレイシズムは強大になっています。政府に反対する人たちの中にすら、レイシストが存在します。

■特にギリシャへの経済制裁を目の当たりにして以降、現在EUに加盟していないその地域の国々にとって、EUとはどんな存在なのでしょうか。

資本主義国家では、誰もタダで物をくれたりはせず、常にそれ以上の物が取られるだけです。
EUの国家として、ギリシャの人々はそれらの非常に厳しい制裁の中を生きています。ただこれがEUに加盟していない国の場合は、内戦が起きたり、植民地主義的政策が取られるのではないでしょうか。

トルコにおける反原子力運動について

■ご存じかもしれませんが、福島原発事故から5年が経ちますが、日本政府といくつかの企業は、トルコへの原発輸出を行うことで合意したそうです。これについてはどう思いますか? また、トルコではどのような反対運動が起こっていますか?

トルコの反原子力闘争は、1986年のチェルノブイリ原発事故の後に始まったと言えます。事故の6、7年後から、原発計画に反対するデモが起こりました。チェルノブイリ事故の影響が、トルコ国内の黒海側で見られ始め、何百もの癌の事例を引き起こしたからです。ただ抵抗運動は大きくはならず、メディアの原子力政策のプロパガンダにより弱体化させられました。
というわけで、トルコでは約30年に及ぶ反原子力の運動があると言えます。アナキストや反権威主義アクティビストたちは、この運動における重要な役割を担っています。

この闘争は環境保護運動から始まり、他の運動も巻き込んでいきました。元々モダニストで工業志向だった左翼たちも、徐々に考えを変えていったのです。左翼グループはかつては原子力に反対していませんでしたが、最近では左翼もアナキストも原子力、水力発電や火力発電にすら反対の立場を取っています。アナキストは原子力反対のたくさんの行動を計画し、たくさんの発言をしてきました。福島原発の事故後も、何十回もデモやミーティングなどを行っています。毎年、反原子力のグループで福島やチェルノブイリの犠牲者の追悼行動も行っています。

Nukleere Hayir: “原発はいらない”

Nukleere Hayir: “原発はいらない”


■具体的にどのような行動を行っていますか?

まず、先述のようにチェルノブイリと福島の被災者の追悼デモを毎年行っています。これらの行動はNGOや左翼グループにより主催されており、アナキストや反権威主義グループがそれに参加しています。
2、3年前、アナキストに主導されたデモ参加者が、原発計画地域のフェンスを打ち破り、敷地内へ侵入したことがありました。10年前には、アナキストの若者により組織された「Anti-Nuclear Front(反原子力戦線)」というグループがデモや抗議行動を企画していました。
時には、北部のスィノプ原子力発電所(注5)建設予定地、南部メルスィン県のアックユ原子力発電所(注6)建設予定地や、イスタンブール、イズミルなどの関連する場所へのスプレーペイントをする行動もあります。

■最後に、トルコへ行った場合の、infiAlへのアクセスを教えてください。

infiAlの住所は:Bulbul Mh.Turan Cd. No: 36A Beyoglu, ISTANBUL で、タクシム広場の北西です。
来る前に、 infialpostasi@gmail.com までメールをもらえれば詳しい案内をします。

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注:
1. コバニ: シリア内戦において、ISISによる侵略からクルド勢力が逆転、奪還した「コバニ包囲戦」が起きた、シリア北部アレッポ県に属する町。シリア政府による名称はアイン・アル=アラブで、コバニはクルド名。
2. ロジャヴァ革命: シリア北部のクルド人地域・ロジャヴァで、シリア内戦のさなか、クルド人勢力が自治区を手にした一連の戦闘。特徴として、反資本主義、反国民国家制度を元にしているのと、女性たちが担う役割が多く、戦闘、政治において活躍している。
3. 2013年ゲジ公園蜂起: 2013年5月末、イスタンブールのタクシム広場近くにあるゲジ公園の再開発計画開始に端を発する、イデオロギーを問わずたくさんの人が抗議活動を繰り広げた一連の出来事。2人が死亡、負傷者多数。
4. ギュレン運動: イスラム教指導者、作家のフェトフッラー・ギュレンの教えに共鳴した人たちの社会運動。トルコ政府はギュレン氏を7月のクーデターの「黒幕」とし、ギュレン氏が住んでいるとされるアメリカの政府に対して身柄引き渡しの要求を行った。
5. スィノプ原子力発電所: トルコ北部スィノプで計画されている原子力発電所。2013年5月、トルコのエルドアン首相と日本の安倍首相の間でBOT(Build-Operate-Transfer)方式(EL ZINE vol.20の「Cris(Etniko Bandido Infoshop)インタビュー」に注釈あり)での契約が調印された。三菱重工業と伊藤忠商事が建設を行う予定。
6. アックユ原子力発電所: トルコ初の原発となる予定の施設。ロシアとトルコの原子力建設企業により建設される予定。

28. December 2016 by sats
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